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美加 五十嵐

東京言語研究所理論言語学講座 言語心理学

更新日:2020年3月21日


打ち解けた雰囲気で進められた懇親会では、講師と受講者が親しく語り合い、講師にとっても、受講者にとっても楽しいひとときでした。

いよいよ、きょうから理論言語学講座の講義が始まります。入学制度も、卒業制度もあるということはカリキュラムもあるということです。このカリキュラムは運営委員会が定めるもので、毎年、さまざまな角度から検討が加えられています。

充実した理論言語学講座ですので、一部に敷居が高いという印象をお持ちのかたもいらっしゃると聞きました。しかし、大切なのは持ち合わせている知識の量ではなく、知的好奇心です。そして、きちんと受講することによって思考力が磨かれていくことにないます。

わたくしの今年度の講義は「言語心理学」です。16日から始まります。受講者の数は20名を越えていますが、一般的な基準からすれば、適度な大きさのクラスです。わかりやすく言語心理学の解説をしながら、最終的には、いまどんなことが話題になっているか、わたくし自身はどんなことを考えているのかなどについてお話ししたいと思います。申し込みはまだ可能ですので、関心のある方はぜひご参加ください。 http://www.tokyo-gengo.gr.jp/

以下、講義概要です。

———————————————————————————– 今年度は、言語心理学の重要な研究領域である、言語獲得と統語解析についての入門講義をします。同時に、すでに入門をすませている受講生にとっては、基本的なことがらの整理になり、さ らに、研究の第一線でどのような研究が行われており、それがどのような意味を持っているのか がわかるように講義を進めたいと考えています。

赤ちゃんはどのようにして母語を獲得するのでしょうか。そして、それはどのような仕組みに 支えられているのでしょうか。これらの問題は古くから多くの人々の関心を集めてきました。し かし、そのような探求をするためには、獲得される言語というものがどのような性質を持ったも のであるかについて一定の見通しを持っていることが必要です。また、獲得しうる諸言語はどの ような基盤の上に築かれているのかについても同様のことが言えます。その上で、現実の言語獲 得の過程を眺めてみると、興味深いことがたくさん見つかります。

今年度の前半部(前期と後期のはじめの部分)では、このような視点から言語獲得について考 え、その研究努力がどのように心や脳の研究とつながっていくかについて探ります。 獲得の結果、身についた母語は、言語理解の過程で使われます。言語理解の過程の中に、統語 構造(言語表現の形式的成り立ち)を計算する部分が含まれているというのが統語解析の考えで す。統語解析という視点から言語理解を考えると、これまた、興味深いことがたくさん見つかり ます。

今年度の後半部では、この統語解析について考え、その研究努力がどのように心や脳の研究 とつながっていくかについて探ります。なお、今年度の公開講座の 1 つとして、統語解析につい ての広瀬友紀さん(東京大学)の話が予定されています。この講義の統語解析の部分と連動する 内容のものになるはずです。

言語理論的な基盤は生成文法です。したがって、生成文法についての基本的な理解(理論言語 学講座の課目で言うなら「生成文法Ⅰ(入門)」程度)があることが望ましいのですが、もっと大 切なのは知的好奇心です。生成文法の理解について不安のある向きには事前にメールなどで相談 してください。

教科書は使いませんが、必要な文献などは添付ファイルとして配布予定です。関連して、ある 程度の容量のファイルを受信可能な電子メールアカウントを用意しておいてください。 学生、院生、小中高大の先生方、社会人など広い範囲の方々に受講していただきたいと思いま す。定期的に出席することが可能であるなら、高校生でもかまいません。 受講に関しての質問はメール(oyukio@sfc.keio.ac.jp)で受け付けます。

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