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美加 五十嵐

教育再生実行本部の提言(2)

更新日:2020年3月21日

自民党の教育再生実行本部がまとめた「成長戦略に資するグローバル人材育成部会提言」(2013年4月8日)を入手しました。この提言についてはすでに江利川春雄さんがご自身のブログで「教育再生実行本部の「提言」全文入手」という題で、簡潔ながら、鋭く問題点の指摘をしています。 http://blogs.yahoo.co.jp/gibson_erich_man/32702333.html

わたくしが入手したものが「提言」の全文であるなら、わたくしが考えていた数十ページにわたる文書ではなく、表紙を入れて6枚の整理メモのようなものです。誤解のないように付け加えておけば、だからだめだと言っているのではありません。事実を述べたまでのことです。

詳細な検討は後日にしなくてはならないのですが、すぐに目についたのが以下の点です。「大学において、従来の入試を見直し、実用的な英語力を測るTOEFL等の一定の成績を受験資格及び卒業要件とする」(1 英語教育の抜本的改革 第1項)とあります。これまでのマスコミの報道では「TOEFL」としていたところがほとんどですが、原文では「TOEFL等」となっています。「~等」は官僚が作る文章によく出てくる(江利川さん)安全弁の1つです。しかし、ここは大切です。「提言」に対する、これまでのネット上などでの反応では、

① TOEFLはむずかし過ぎる ② アメリカ留学用のテストであって、日本の大学入学、卒業の要件にはするには問題がある ③ ETSという「私企業」(ただし、nonprofitである点に注意)が作ったテストである

などが見られましたが、ひとたび、「TOEFL等」となると新たな検討が必要になります。 高校生や英語教師についても一定の英語力を求めるという記述になっていますが、そこでも同様に、「等」がついています。

さらに大切なのが以下の点です。この「提言」の「英語教育の抜本的改革」は「グローバル人材育成のための3本の矢」の一本として位置づけられたものです。他に、「イノベーションを生む理数教育の刷新」と「国家戦略としてのICT教育」という二本の矢が用意されています。つまり、TOEFL云々はもとより、英語教育のところだけに注目していたのではことの本質を見誤ってします恐れがあるということです。

もっと言うと、今回の「提言」はこれまで与党が推し進めてきた「グローバル人材育成戦略」の帰結の一つと位置づけなくてはなりません。そのためには、たとえば、2012年6月4日にグローバル人材育成推進会議がまとめた「グローバル人材育成戦略(グローバル人材育成推進会議 審議まとめ)」 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/global/1206011matome.pdf などにもきちんと目を通しておく必要があります。

「平泉提案」に対するhttp://d.hatena.ne.jp/TerasawaT/20111130/1322650169のような冷静な分析が求められていると言えます。

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