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美加 五十嵐

大学入試への英語民間試験導入の延期について

更新日:2020年3月20日

ことが急展開しました。


周知のとおり、11月1日、萩生田光一文部科学大臣が閣議の記者会見で大学入学共通テストでの英語民間試験の活用について2020年度からの実施を延期すると発表しました。併せて、萩生田氏のもとに検討会議を作り、今後1年をメドに結論を出す方針であることも明らかにしました。


この件に関して、思いは極めて複雑です。ある出版社からの依頼を受けて用意した文章があるのですが、週末に入ってしまったので、おそらく掲載は週明けになると思います。しかし、報道などでも見過ごされがちな、次の点だけはできるだけ早くみなさんにお伝えしておく必要があると考え、その文章から二段落を転載いたします。

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重要なことは、今回、ニュースなどで注目されているのは「経済格差」と「地域格差」の問題ですが、民間試験導入の問題点はそれだけではないという点です。ことに、目的の異なる複数の民間試験の結果をどう同じ基準で評価するのかというのはきわめて重要です。この際、CEFRを持ち出しての議論もきちんと検証し直すべきです。なお、鳥飼玖美子さんが以下のサイトで民間試験導入の問題点を整理し、わかりやすく解説しています。https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/414086.html


もう一つ外すことができない重要な点は学習指導要領との関連です。学習指導要領は学校教育のガイドラインを定めたもので、教科書もその定めにしたがって作られています。センター試験をはじめ、各大学入試も、学習指導要領を考慮したうえで作られています。学習指導要領に則って作られているわけではない民間試験を入試の一部として導入することによって、高等学校での英語の授業が民間試験対策講座に堕してしまう危険性があります。実際、今回の導入延期を受けてのニュースでは《せっかく、民間試験対策に力を注いできたのに!》という高校生や先生たちの声も紹介されました。

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