本年もどうぞよろしくお願いいたします。
このところ、ブログの更新が滞って申し訳ありません。歳が歳なので、病気をしているのではないかと心配してくださるかたもおいでですが、いたって元気です。
ブログの更新の滞りだけでなく、年賀状もまだ書いていない(買ってはあるのです)状態です。なぜそんなことになっているのかというと、一言で言うと、多忙ということになります。
まず、専門分野の認知科学の研究です。一番の関心事は以前から変わらず第一言語獲得です。私見では、生成文法と言語獲得の関係が以前よりも直線的でなくなり、言語獲得研究も、ここしばらくの間、ブレイクスルーを見出していないように思えます。昨年、友人の杉崎鉱司さんが『はじめての言語獲得—普遍文法に基づくアプローチ』(岩波書店)という優れた入門書・概説書を出版し、刺激を与えてくれたこともあり、できれば、この問題に関したシンポジウムを企画したいと考えています。
また、新学術領域研究「こころの時間学」も後半に入り、神経科学関連の班との共同研究も本格始動の予定です。西山佑司、飯田隆、今西典子のベテラン研究者と小町将之、嶋田珠巳の中堅研究者とともに、がんばります。
つぎに、本務校である明海大学が昨年10月に複言語・複文化教育センター(Plurilingual and Pluricultural Education Center、P&P)を設立したのですが、副学長職に加え、そのセンター長を務めることになりました。P&Pは外国語学部と連携して、明海大学全体の言語教育の改革を推し進める役割を担います。ご承知のかたも多いと思いますが、複言語・複文化主義はヨーロッパに端を発する考え方ですが、わたくしはいわば明海版複言語・複文化主義を探っていきたいと考えています。ごく簡単に言ってしまえば、《母語を基盤に、2つ以上の外国語を学ぶ》。「母語を基盤に」というからには、母語の正体を知っておく必要があります。1年生次に外国語研究概論と学修の基礎Ⅱを学び、母語の仕組みと働きについて学びます。それを基盤として、「第一」外国語の仕組みと働きを理解したうえで、きちんとした運用ができるようになるまで訓練を重ねます。「第二」外国語についてはその言語の仕組みの概要を理解し、初歩的な口頭運用ができる程度の力を身につけます。こうして、母語と2つの外国語という、3つの視点から「ことば」を立体的に捉え、その特性を十分に活かすことができるようになることを目指します。
近日中に、その詳細をご紹介しますが、2月27日(土曜日)には、英語教育と国語教育の連携に関するシンポジウムを、そして、来年度はP&P本格始動記念シンポジウムなどを企画しています。
多忙の、さらにもう1つの理由は小学校英語がらみの活動です。「活動型」の中学年への前倒しと「教科型」の高学年への導入です。いずれも問題を抱えたものであることは以前からずっと主張してきたとおりですが、ここにきて、英語教育と国語教育の連携という話題が急浮上してきました。実現に持ち込めるか、あるいは、どんな形で実現するかはまだ不透明ですが、ここで実質的な議論ができれば、なにかが変わるかもしれません。上に述べたP&Pシンポジウムはまさにこの話題を取り上げたもので、理論と実践の両面について考えます。
というわけで、忙しくしています。
大みそかは島津亜矢が14年ぶりに紅白歌合戦に出るというので、恒例のパーティもとりやめて、ゆっくりと鑑賞しました。番組全体はどうということはない、雑居ビルのような構成でしたが、亜矢が歌った「帰らんちゃよか」はじつによかった。2分40秒程度の短縮バージョンで、この曲のよさは完全には伝わらなかったものの、与えられた条件で最善を尽くすという彼女の基本姿勢はそのまま貫かれていて、うれしかった。島津亜矢についてはある程度、まとめて書いた文章があるので、もう少し手を入れて改めてアップいたします。
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