嶋田珠巳さんと斎藤兆史さんと共に編んだ『言語接触—英語化する日本語から考える「言語とはなにか」』(東京大学出版会)の書評が『日本語学』(明治書院)9月号に掲載されました。
書評者の相澤正夫さんとは面識がありませんが、「そこに言語研究の各分野で豊かな実績をもつ著名な研究者たちの、普段とはひと味もふた味も違った書きぶりの論考を大胆に足し込んで、しかも全体としては「言語接触」に触れないものはないという、看板に偽りのない魅力的な一書に仕上げている」とまことにありがたい評価をしてくれています。
また、嶋田さんについても、「筆頭編者の嶋田氏は、近年アイルランドの言語交替をテーマに「接触言語学」の分野で実績をあげた研究者である。そんな氏の言語研究全般に対する強い関心と情熱が、編者としての丁寧な仕事ぶりに現れている。「プロローグ」と「エピローグ」の随所にそれが実感される」と彼女の仕事ぶりを適格に評価しています。
さらに、「何よりも嬉しいのは、著者たちの研究観が吐露されていることだ。社会との距離の取りかた、学問への取り組み姿勢が率直に語られる。学術論文では「私」を抑え客観に徹する著者も、本書では自由闊達な「私」誇りをむしろ楽しんでいる。書き手の人間まで見せてくれるところに本書のもう一つの魅力がある」という結びの一言で書評者が読者として素直に各論考を楽しんでくれていることがわかり、編者としてはこれ以上の喜びはありません。
言うまでもなく、好意的なことばが並んでいることを単純に喜んでいるわけではなく、書評者が編者の意図とその実現のための苦労を正当に評価してくれたことに対して、深い感謝の念を覚えます。
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