2015年度の理論言語学講座の要項等が公開されました。 http://www.tokyo-gengo.gr.jp/
わたくしは「言語学入門」を担当します。水曜日の2限(7時40分から9時10分まで)です。概要は以下のとおりです。
【講義概要】 「言語学」と聞いて、どんな学問を連想しますか。「「言語」学」というのですから、「言語」 を対象にした学問であろうことはだれでも推測できますが、それ以上、立ち入った話にな ると、案内書なり、案内人が必要になるでしょう。 想定している受講者は、学部生、大学院生、小中高の先生、一般社会人、そして、(夜は 遅いのですが)高校生です。 日本社会の将来を考えるとき、ことばの問題を無視することはできません。ことばは思考とさまざまな形での情報交換を支える重要なシステムだからです。しかし、いまの日本 にはことばに関する俗説が横行し、ことばの教育もないがしろにされがちです。こうした 状況の改善は喫緊の社会的課題です。その意味で、この講義を、言語学を学びたい、言語学の研究者を目指したいというかたがただけでなく、広くことばに関心を持つかたがたに 受講していただきたいと願っています。 取り上げる予定のトピックはつぎのとおりです。「言語」とは。なぜ言語を研究するのか。研究の方法。動物の「言語」とヒトの言語。言語音の世界。語の世界。文の世界。語用の 世界。形と意味。言語の獲得。言語理解。発話。言語の変化。言語と社会。言語の脳科学。 言語の起源と進化。言語と教育。など。ことばは人間だけに許された宝物です。その正体を探ることによって、その価値をきち んと認識し、効果的に活用することができるようになります。この機会に言語学への入門 を果たしてください。 【この課目で前提とされる知識など】 ありません。 【テキスト・参考文献】 教科書は使いません。必要に応じて、教材をコピー、ないしは、電子メールへの添付書類の形で配布します。 なお、同じ水曜日の1限には嶋田珠巳さんの「社会言語学入門」が開講されます。 嶋田さんは現在、わたくしの同僚ですが、接触言語学をはじめ、社会言語学と呼ばれる領域に広く通じた研究者です。アイルランド英語も研究対象の1つで、フィールド・ワークの体験も豊富です。わたくしの「言語学入門」と相補的な関係にあり、両者を同時に受講するのもよいかと思います。
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