既報のとおり、10月1日(土曜日)と2日(日曜日)に西新宿の東京言語研究所で「生成文法理論にもとづく第一言語獲得研究の諸問題」と題した集中講義が開催されます。 http://www.tokyo-gengo.gr.jp/20111001.pdf
日本ではあまり話題にならないのですが、この分野の研究の進展には目覚ましいものがあります。ごく最近でも、Jürgen M. Meisel (2011) First and Second Language Acquisition. Cambridge University Pressという質のよい教科書が出版されました。
http://www.amazon.co.jp/First-Second-Language-Acquisition-Differences/dp/052155764X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1317073952&sr=8-1
入門者にとっての問題はこの分野の研究を理解するためには生成文法のきちんとした理解が前提となるという点です。そして、それだけでも大仕事だということで敬遠されがちです。実際、生成文法にとって第一言語獲得研究は「関連分野」と呼ぶような、甘い関係にあるのではなく、それ自体の一部であるのです。
しかし、理論的にきっちりとした分野の研究はどこでもそうだと思うのですが、研究対象に対する基本的な姿勢(発想、捉え方)とアプローチの方法についての基礎を身につければ、あとはそうでない分野の研究に比べ、ずっと見通しがよくなります。簡単に言ってしまえば、最初の一歩が非常に重要なのです。
今回の集中講義はそのような「最初の一歩」を踏み出す、よい機会になるはずです。すべてを理解しようとあまり肩肘を張らず、しかし、集中して講義を聴き、考えていけば、「あっ!」という瞬間が訪れるかもしれません。
学部生、院生には受講料割引の特典がありますし、今年度の理論言語学講座の受講生にも同様の特典があります。暑く、複雑だった夏が終わり、過ごしやすくなった、秋の週末をぜひ西新宿でご一緒しましょう。
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