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執筆者の写真大津由紀雄

『言語研究の世界---生成文法からのアプローチ』刊行!


2月24日に大津由紀雄・今西典子・池内正幸・水光雅則監修、杉崎鉱司・稲田俊一郎・磯部美和編『言語研究の世界---生成文法からのアプローチ』が研究社から刊行されます。すでにAmazonなどでは予約の受付も始まっているようです。

定価は3,630円です。


表紙に描かれたところから推測していただけると思いますが、こんな狙いの本です。「言語」を脳に内蔵された知識と捉え、その性質を明らかにすることによって、ことばの普遍性と多様性を探ります。それは人間の赤ちゃんの母語獲得のなぞ(どうして人間の赤ちゃんだけが、あれだけ限られた情報から、あれだけ早く母語の獲得ができるのか---言語版「プラトンの問題」)に迫ります。さらに、なぜ進化の過程でヒト(ホモサピエンス)だけがことばを手に入れることができたのかという問題にもつながっていきます。この本はことばに対するそういうアプローチ(「生成文法」)について、できるだけわかりやすく、その本質を正しく理解できるように書いたものです。


「監修者」というのはときとして単なる「名義貸し」であったりもしますが、この本の編集にあたっては、監修者と編者が何度も打ち合わせ会議を繰り返しました(コロナ状況下でしたので、その大部分はオンライン会議でした)。さらに、監修者・編者は執筆者たちと緊密な連絡をとりながら、できるだけ全体のバランスが保たれるよう努力しました。


目次と執筆者については下記をご覧いただきたいのですが、力のある中堅研究者たちを多数据えています。生成文法の将来を見据えてのことです。力作が揃っています。


じつは、この本は20年前に同じく研究社から刊行した大津由紀雄・池内正幸・今西典子・水光雅則編『言語研究入門---生成文法を学ぶ人のために』の姉妹編として編んだものです。この20年間の生成文法の進化を反映して、今回の新著は旧著とはかなり見た目が変わっている部分があります。ただ、ここで気をつけなくてはいけないのは生成文法が目指すところはこの20年間で(というか、1950年代以来、おおよそ70年間)不変であるという点です。この辺りもこの本を丁寧に(できれば、旧著を参照しながら)読んでもらうとよく理解できるはずです。


大学や大学院での教科書としていただく可能性のほか、独習もできるようにネット上に「読書案内」や「基本問題」「発展問題」の解答例などを掲載することになっています。


上に「できるだけわかりやすく」と書きましたが、この本はやわな本ではありません。紙と鉛筆、あ、今流の方ならタブレットと電子ペンシル、それにコーヒーを用意して、落ち着いて読み進めていってほしいというのが監修者・編者の願いです。


【目次】

まえがき 

執筆者一覧 

《第I部》 生成文法を学ぶための基礎知識I

第1章 はじめに: なぜ言語を研究するのか (大津由紀雄・今西典子)

第2章 言語知識の性質 (杉崎鉱司)

《第II部》 生成文法を学ぶための基礎知識II

第3章 言語の音とは: 音声学・音韻論(田中伸一)

第3章補足 音の記号: 言語で異なる音の区分と性質(田中伸一)

第4章 語とは: 形態論(長野明子)

コラム❶ 音と形態のインターフェイス(石原由貴)  

第5章 文とは: 統語論1 (小町将之・瀧田健介)

第6章 統語現象を考える: 統語論2 (瀧田健介・小町将之)

第7章 意味とは: 意味論1 (稲田俊一郎・猪熊作巳)

第8章 意味現象を考える: 意味論2 (猪熊作巳・稲田俊一郎)

第9章 発話とは: 語用論(瀬楽亨)

コラム❷ 統語と音のインターフェイス(塩原佳世乃)  

コラム❸ 統語と意味のインターフェイス(中尾千鶴) 

《第III部》 こころと脳を探る言語研究の展開

第10章 言語の獲得1: 第一言語の獲得(郷路拓也)

第11章 言語の獲得2: 第二言語の獲得(磯部美和・平川眞規子)

第12章 言語の運用(大津由紀雄)

第13章 言語の変化(宮下治政)

第14章 言語の脳科学(尾島司郎)

第15章 言語の起源と進化(池内正幸)

コラム❹ 幼児言語と自己埋め込み(照沼阿貴子) 

コラム❺ 手話言語(坂本祐太)  

コラム❻ 少数言語の研究(大滝宏一)  

終 章 言語研究の展開と今後の展望 (稲田俊一郎・杉崎鉱司・磯部美和・大津由紀雄・池内正幸・今西典子)

《付 録》

エッセイ: 言語研究の楽しみ(水光雅則)

事例研究1: コーパスを使った言語研究(深谷修代)

事例研究2: 日本語と英語における結果構文とその関連構文(阿部明子)

あとがき     

引用・参考文献  

索  引    

執筆者略歴 

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